日本市場の情報発信を考える懇談会日本証券業協会が設置しています。
4月10日に行われた第3回の会合では、「投資経験の無い方にも投資の魅力を伝えていく」という
日本経済応援プロジェクト「+YOU」について説明があったようです。
過去の内容を読むと、悩みのテーマは商品先物取引と同じ。「証券」を「商品先物」に変えて読めば、活性化のヒントが見えてきます。
第1回懇談会(平成24年12月19日)
内容はこちら収益改善のポテンシャルを秘めた日本企業
市場の活性化とIR
第2回懇談会(平成25年1月25日)
内容はこちら投資家層拡大のための情報発信活動の考え方
日本の証券市場インフラ:国際競争力の視点から
第1回懇談会より
投資から遠い「未投資家層」になぜ投資すべきかを伝える
データが4年前と古過ぎですが、
日本証券業協会が2009年に実施した「証券投資に関する全国調査」によると…
「未投資家層」は7割から8割存在するそうです。
以下、報告書からの抜粋です。
投資へのネガティブな印象の払拭を考える必要もあると思います。
テレビや映画で証券マンはヒーローとして描かれておらず、どちらかといえば悪いイメージがついている。
そのイメージを変えていくことも必要ではないでしょうか。
若い方を対象として、投資教育をブランディングやマーケティング活動と考えれば、今と違ったことができるのではないでしょうか。
(野尻哲史氏/フィデリティ退職・投資教育研究所所長)
3年ほど前に女性だけを対象としたアンケート調査やグループインタビューを行ったところ、投資をしている方の全員が、投資を始めた理由として「父親がやっていたから」と答えました。
やはり、親の影響力は大きいと思います。
(野尻哲史委員 )
テレビで放送される株式投資の番組は、いずれも入り口としては敷居が高いように感じます。
芸人に出てもらうなどして、より柔らかい内容の情報提供番組があると良いのではないでしょうか。
(松岡真宏委員/フロンティア・マネジメント代表取締役 )
大学院で授業を受け持っていますが、受講する学生には2つのタイプがいるように思います。
ひとつは、金融理論に基づいて投資家の視点を学ぼうという層。
前者の層には、自身も積極的にリスクを取っていこうという傾向が見られます。
もうひとつは、CSR(企業の社会的責任)の観点で、世の中の役に立つような投資に興味があるという層です。
後者の層には、元本確定型や配当を重視する人が多いようです。
(佐藤淑子委員/日本IR協議会 事務局長・首席研究員)
ヒーローは悪を倒す人です。
証券マンがヒーローになるためには、投資家を襲うさまざまな問題に対して、投資という方法で解決手段を提示することが大切だと思います。
もうひとつ重要なのはフェアであること。
インサイダー取引や情報の漏洩を許さない、清潔な市場をつくることも重要な条件ではないでしょうか。
(ロバート・アラン・フェルドマン委員/モルガン・スタンレーMUFG証券マネージング・ディレクター)
取引の高速化は特定の投資家のためではなく、市場の機能を高めるために用いるべき
問われるべきは、速さは誰にとってのアドバンテージなのかという点です。
一部の機関投資家や証券会社のようなインフラ投資ができる人たちだけが恩恵を享受できれば良いのか、あるいはその速さを使って流動性の提供に貢献する投資家を対象とすべきなのか。
スピードだけを追い求めるのはコストがかかります。
これ以上スピードを上げることで、市場の価格発見機能が実際に高まるのかどうかを、きちんと検討する必要があります。
(宇野淳委員/早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授 )